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2012年1月15日 (日)

 【展示レポート】千葉県立美術館「関主税展」

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千葉県立美術館にて開催された、関主税展のレポートです。

この展覧会のことは、昨年、同美術館で開催された「千葉県美術展(県展)」に出品された生徒さんの絵を拝見しに行った際に置かれていた告知チラシが気になり、ぜひ見に行きたいと思っていたので、年末の慌しい時期を避けて新年の休みのうちに美術館へ向かいました。(1月6日でした)

関主税さんは日展を中心に活躍された日本画家ですが、ここのところ、さまざまな場面で日展作家の仕事や言葉に共感を覚えることがありまして。

年末の大掃除の一環で古いビデオをパソコンに取り込む作業中、同じく日展で活動されている「土屋禮一」さんが故郷の風景を描くことについて語られていた10年以上前の映像が印象に残り、そんな出来事も重なってこの展覧会を興味深く思っておりました。

今回の展覧会は、美術館の置かれる千葉県の出身作家として、彼の残した足跡を広く世間に紹介する試みで企画された一大回顧展ということで、会場を入ってすぐ目にした作品は画面の一部が大きく破損して絵の具が剥落した状態のまま展示されていましたが、むしろそんなところに、「集められる限りのすべての作品を展示したい」という美術館の方の気迫や、この展覧会にかける思いが伝わってくるように感じつつ、関主税の世界に引き込まれて行きました。

彼の作品は、生まれ故郷の千葉県にちなんで、海や波をモチーフに描かれた作品が多いのですが、長野の山中で育った私にも共感できるものが多く、少し不思議に感じたのですが。。。

この日記を書くために改めて確認した土屋禮一さんの映像の中に、そのヒントが隠されていたように思いました。

土屋さんは、「特別な御馳走のようなものではなく、毎日口にするご飯やみそ汁のような、当り前ではあるけれど自分の体を育む栄養になっているような身の回りの風景を描きたい」と思われているそうで、おそらくそれは、たとえ同じ風景を見て育っていない人にも共通の懐かしさとして伝わるのではないか?と。

関さんの風景画もまさにそんなスタンスで描かれているから、海を身近に感じない私の眼にも違和感なく映ったのではないでしょうか?

また、そんな制作スタンスを裏付ける要素として印象的だったのが、パネル展示で紹介されていた彼の言葉で。

「絵描きの中には、”絵がすべて”というような凝り固まった生き方をするものも少なくはないけれど、自分はどうしてもそうは思えず、俗世間とのしがらみや趣味の世界などに気を取られ翻弄されながら、でもそう言ったことのすべてが自分という人間を形成し、絵を描く糧にもなっているように思う」と。(記憶を頼りに書いたので正確な言葉ではありません)

先述の土屋さんは、絵描きの父を持ち”一日一枚の絵を描かないと寝かせてもらえないような幼少時代を過ごした”人なので、「絵がすべてではない」という関さんとは歩んできた道も考え方も異なるかもしれません。

しかしその一方で、「自分が中学に上がった頃に父親が急逝し、そんな教えに反旗を翻すこともできずにこの道を選ぶことになったのは、言葉は悪いけれど運が良かったのかもしれない」と。

ココから先は私の推測にすぎませんが、半ば強制的に「絵がすべて」という環境で育てられた土屋さんがそれを脱してたどり着いた境地と、関さんの絵画に対峙するスタンスとは、別の道を歩みながらも同じようなところにたどり着いていたのではないかと。

二人の作家の歩んだ道のりに思いを馳せつつ、まったくの俗物である自分自身も、都合良く肯定しながら今後も頑張っていこうと。

そんな風に思えた展覧会でした。

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コメント

見たかったです。他の方のブログでも発見いたしましたが、初めて見た日展で「野」と、いう、関 主税さんの作品に感動し、それ以来それ以上の作品に出合っていません。9月に、所蔵展があるので、「野」だけでも見れるので待ち遠しいです。

投稿: T.F. | 2012年8月14日 (火) 10:45

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