藤田嗣治展
国立近代美術館にて、2006年3月28日(火)~5月21日(日)に開かれていました「生誕120年 藤田嗣治展(パリを魅了した異邦人)」のレポートです。
この展覧会が催された頃、巷ではWBC(ワールドベースボールクラシック)の話題で持ちきりで、私は、イチロー選手の軍国少年のような愛国心発言に、少し違和感を感じていたのですが・・・、そんな折、この展覧会の告知を兼ねたNHKの特集番組を目にしました、、、。
その中で、海外に渡った日本人画家の中で最も高い評価を得たことで有名な藤田が、第二次大戦の戦時下に帰国し従軍画家として国に仕えた事が今回の出品作とともに紹介されていまして、、、。
その事は以前にも耳にしていて、私の中では、「藤田は戦時下の日本で生きていくために”仕方なく”戦争画を描いていた」・・・と認識していたのですが、実は全く逆で、むしろ積極的にその勤めを果たしていたのだそうで、、、不自然なまでに戦争画に没頭する彼の姿が、どこか?WBCのイチロー選手の姿と重なる様にも思えました。
私の藤田作品との最初の出会いは、大学時代(予備校時代?)に大々的に開かれた「レオナール藤田展」で、独特のアンニュイな人物画に惹かれて見に行き、胡粉を使った白く美しい下地に面相筆で描かれた日本画的な描線に感銘したのが記憶に鮮やかでしたが、今回の展示で見た戦争画にはそんな面影は微塵も無く、徹頭徹尾、硬派なリアリズムによって描かれていまして。
その作品には、戦争という「負」のモチーフにも拘らず、むしろ活き活きとした生命感が漂い、また、そこに描かれた兵隊たちの姿には敵味方の区別もなく、異邦人として海外で生きた藤田独特の「全人類に公平な目線」が感じられて、決して日本の軍国主義を賛美するような作品ではないと私は感じましたが、運命というのは皮肉なもので、、、イチローは「お国の為に頑張った」おかげで国内での名声を高めることができた訳ですが、藤田は「お国のために頑張りすぎてしまった」為に、日本が敗戦国となった途端「国民を戦争へと駆り立てた戦犯」との汚名を着せられ、逃げるようにフランスへ舞い戻り、国籍を捨てフランス人として余生を送る道を選ぶ事になったのです。
私は基本的に、その様な「先入観」や「センチメンタリズム」で作品を評価ることは好きではありませんが、そんな藤田の複雑な心境を知り、改めて自分のルーツや日本文化について考えさせられた展覧会でした。
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